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[学生の作文]目立たない凹凸

[学生の作文]目立たない凹凸

 

このコーナーでは、在校生が書いた作文をご紹介していきます。

 



目立たない凹凸 

 

チョウ レイケツ(中国)

 

  いつの日からわからないが、コンビニにホットトリングが陳列された棚が一つ増えた。それは私にとって、真冬のサインのひとつだ。その棚の前で立っていると私はこのテンポの速い東京都でゆっくりとした暖かさを感じられる。
午後の4時の山手線はそんなにすしづめではない。アルバイトのために、池袋から新橋までの山手線の旅は私のルーチンだ。暖房しているシートに座っている私はまるでさっき買ったホットコーヒーと同じように、どんどん温められている。私の中に潜んでいた眠気はとうとう暖かさとともに私の意識を侵略してきた。


 再び目を覚ますと、新橋駅だ。眠気を振り払い、いやでも、自分を座席からぐんと引きずり出さなければならない。苦しい、とても。手に持っているコーヒーも既に冷め切っていた。コンビニの棚からコーヒーを取り去る瞬間に、コーヒーも今の私と同じ苦しみ感じていたのではないかと疑った。


 電車の扉が開いたとたんに、一つ一つの黒いスーツの姿が目に飛び込んできた。駅はすぐに靴が床を急いで叩きつける音で、浸水されるだろう。背中から見ると、彼らはみんな疲れたように見え、それをがんばって隠そうとしても、スーツのしわから一抹の不安が漏れていた。ここではあまり多くの人が幸せとは言えない。彼らの笑顔は半分が同僚や上司と一緒の空笑いでああり、もう半分は酒の後の狂気からだ。居酒屋で働いている私はよくわかる。


 東京は左側通行だが、各駅や階段ごとに独自のルールがある場合が多い。たとえば、この階段は右側に下りの標識が描かれており、指示に従って歩いている人と慣習に従っている人が正面衝突することがある。両者は自分が正しいと感じている。私もその中の一人だ。日本のさまざまなルールはきっとスーツ姿の人々のしわを深まらせるだろう。私はそう思いながら、心の中で黙って頷いていた。階段の角には珍しい混雑が見られた。一人がそこに立って全然動かない。混雑の中心はサングラスをかけて、背の高くない男だった。彼は頭を遠くの天井に向けながら手すりをなでていた。みんなが避けて歩き、その周りにはまるでアリが水たまりに入ってしまったかのように警戒していた。


 彼のよこを通る時、彼が実は視覚障害者で、手で手すりの点字を注意深く読んでいることに気づいた。点字にはおそらくこの階段の曲がり角や、どちらに改札口があるかが詳しく描かれていると推測した。


 彼の指はゆっくりと動いていた。それは普通の人にとっては一見して分かる情報だけだが、彼の場合はそれに半時間かかるかもしれない。頭の中には突然、私のおばさんの笑顔が浮かんだ。


 彼女の二つの瞳は黒く輝き、私を見るように頑張っていて、瞳孔がふるえている。いつも私の顔を触ってもいいかと尋ねる。そして、私の鼻が高くなり、目が大きくなり、まつ毛が長くなり、眉毛が濃くなったという。それは私も気づかないディテールばかりだ。美しい成長というご褒美をもらったけれど、おばさんは何も見えない。


 たしか、実家の棚にある最上段には点字の本が一列並んでいることを思い出した。点字の本はいつも分厚くて重たく、その凹凸のある文字は高級な厚紙にしか書かれない。


 私の小学生時代、おばさんは点字を学びたくて買ってきた。彼女は私が小学生になったから、文字を知っていると言って、点字を教えてもらいたいと言った。私はいつも「時間があれば教える」と返事した。

しかし、私はいつも学業に忙しかったり、ゲームに忙しかったり、旅行に忙しかったり、何かに忙しかったり彼女が辛抱強く待っていることに気付いたことはなかった。いつもリビングの隅に首を長くして、私が教えるのを待って座っている彼女は、毎回私が部屋から出るところで「次は何をするの?」と聞いてきた。私が何をしょうとも、彼女は無条件に楽観的に私を支えてくれた。友達に会っても、旅に行っても、留学をすることさえも。でも、一回でも、おばさんに点字を教えるとは答えなかった。


 ある日、そのいくつかの点字の本は本棚の一番上、誰も手の届かないところに置かれ、クモの家の柱となった。おばさんのゆめはクモの巣で封じられた。
私の前の道はぼやけた。

駅の隅に座っているその人は私のおばさんのように笑っているように見える。その笑顔はここのサラリーマンたちとは全然違い、輝いていて、まるで悩みが一つもないかのようだ。彼女は点字を学ぶ機会がないし、家を出る機会もないし、私を本当に見たことがなくても、私を愛している。


 どうしていつも笑うの。


 バイトが終わった後、私は盲人用のコースに沿って一歩一歩階段を上がり、その階段の曲がり角で彼が長い間触れていた点字を感じた。これらの凹凸は見逃されがちだが、社会に非常に重要だ。

この世界はどれだけ不公平であるか、幸福もこれらの凹凸のように目立たないものだ。自分がどれほど幸いか想像できない。おばさんはきっとそう思って笑っていただろう。