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[学生の作文]同じ漢字でも

[学生の作文]同じ漢字でも

このコーナーでは、在校生が書いた作文をご紹介していきます。

 


 

同じ漢字でも

チョウ (中国)

 

 日本語には漢字がたくさんあります。しかも多数の漢字の意味は中国の漢字の意味とほとんど同じなので、日本語を勉強することについては中国人には自然な強みがあるというわけです。

そのため漢字の勉強を疎かにして、何も考えずに中国の漢字の意味をそのまま日本語に移すこと)がよく見られます。しかし、そうすると日本語は上手になりません。一方で、同じ漢字でも中国語と日本語の意味が全然違う場合や微妙な差がある場合もありますので理解を誤ることが起こりやすいです。


 私がその差を重視し始めたのは数学における一つの確率問題をしていたときです。最初は課題を一目見て、自信満々で書き始めて、順調に答えを出しました。でも問題についている答えをチェックした後で、自分の間違った答えに少し驚きました。これはそんなに難しい問題ではなかったからです。

たぶん計算の時、油断してミスしたのだろうかと考えました。それで何回も計算し直してみても、答えは最初と同じでした。念のため、数学が得意な中国の先輩に教えてもらいました。予想通り先輩の答えは私の出した確率と同じでした。心密かに得意になったと同時に、もしかしたら、印刷された答えは間違っているのではないかと戸惑っていました。その間、もう一回簡潔で明瞭な問題に視線を向けると、「以上」という単語が注意を引きました。


 中国語の場合、特に数学において「以上」を使うときは、自ずともとの数は除かれます。もとの数を含むことをどうしても相手に伝えたいときには、例えば「三及以上」のように、明記する必要があります。そして「以上」という言葉の日本語での場合を調べたら、微妙な差があります。「以上」「以下」というときは、必ずもとの数を含むと決められています。「3以上」なら、3は必ずその指す範囲内に含まれます。場合によって違うということはありません。この違いを知った後で問題もすらすらと解決しました。


 日本語と中国語は、漢字を使うという点で共通している部分も多い言語ですが、このように微妙な差によって誤解が生じることがあります。ですから中国人として日本語を勉強している間に漢字の勉強も怠ってはいけないと思います。